了解

 体を包む温かさ、湯から立ち上る湯気、眼前に広がる空や山、湯を囲む岩々、木でできた柱や天井、庭に生える草や木立、一定のリズムで流れる湯の音。

 体から大きな息が出ていき、落ち着きと平安が入ってくる。

 自然がつくり出した巨大な場所に足が投げ出される。湯を囲む岩は首を支え、湯の底の岩は尻を支え、湯は筋肉を一つ残らず休ませる。意識も湯や湯気の中に溶け込んでいく。

 お湯に入る前は人間だったのに、いまでは自然の一部になった。