2023-01-01から1年間の記事一覧

『老人と海』を読んだ

ヘミングウェイの『老人と海』を 2 回読んだ。最近 2 回読むとよく理解できることに気づいた。1 回読んだだけではどんな話だったか覚えていない。 老人は巨大なカジキに引っ張れて陸地から遠ざかり、そのまま漂流してしまうのではないかと心配になった。 振…

『斜陽』を読んだ

太宰治の『斜陽』を読んだ。恋の革命を夢見る世間知らずのかず子、日に日に弱っていくかず子の母、麻薬や酒で堕落していくかず子の弟の直治の 3 人の物語である。 戦後、貴族だった母とかず子は東京から伊豆に移る。次第に母は体調を崩していく。そこへ弟の…

『読書について』で好きなところ

ショーペンハウアーの『読書について』は面白い。痛烈な批判が爽快だ。ときどき言い過ぎではないかと感じる部分もある。次の部分は特に好きだ。 凡庸な物書きはみな、持ち前のありのままの文体を偽装しようとする。そのためにまず素朴さを断念せざるをえず、…

『存在と時間』の序論

最初のうちは真剣に読んでいたが、現存在の歴史性のあたりから読むのが辛くなった。そのあたりから流し読みした。まだ訳者の解説は読み途中。 印象に残ったのは次の部分: 現存在の存在は、その意味を時間性のうちにみいだす。 ・・・(中略)・・・ 現存在…

『変身』のあとがき

カフカ『変身』のあとがきが好きだ。訳者が書いている。 その作品中、ことに有名な、この『変身』の「巨大な褐色の虫」は何の象徴であろうか。答えは無数にあるようだ。そしてどの答えも答えらしくは見えぬ。けだし文学とは、それ自身がすでに答えなのである…