泥酔

 ばかみたいに酔った。朝起きたら頭が痛い。体がだるい。

 

 友人に謎のラインを送ってしまった。『若きウェルテルの悩み』がどうの、芥川龍之介の『歯車』がどうの、ヨルシカがどうの。すごく恥ずかしい内容だった。痛々しい。朝起きたら恥ずかしさがこみ上げてきた。なんとかシャワーを浴び、洗濯をしている。

 

 昨日、急に飲みたくなった。小さい、古びた居酒屋で飲みたくなった。客がほとんどいないようなところがよかった。夜10時ごろ家を出て適当に歩いていたら、何度か前を通ったことのある居酒屋が目に止まり、入ることにした。

 

 中は小さくこじんまりしていた。ビルの一階を占めているので、外観からは店内の大きさがわからなかった。お客さんは自分のほかに2人いた。20代前半くらいの女性たちがテーブルで楽しそうに飲んでいた。店員は、店主と女性店員の2人だった。

 

 私は一人なのでカウンター席に座る。ビールを頼み、砂肝とやげん軟骨を頼んだ。女性たちの会話が聞こえてくる。三条から来たらしい。車で1時間、電車だと信越線で1時間弱。この居酒屋は駅から遠い。

 

 次にビールをもう一杯と、せせりとぼんじりを頼む。どれも最高に美味しい。おいしさがこぼれてきた。

 

 途中から店主が女性たちの隣のテーブルに座り、彼女たちと会話を始めた。もっと串焼きを頼みたかったが諦めた。女性店員も先ほどまで店主と話していたので、手持ち無沙汰になったようだった。

 

 飲むしかなくなった。食事はできない。メニューにラーメンやご飯類もあったので、しめに食べたかったが仕方ない。焼酎の水割りや熱燗を頼み、ただただ飲んでいた。そしてあの謎のラインを友人に送り付けた。