不毛2

 全身の力を振り絞り、妻の実家に行ってきた。

 

 家に入ると妻は泣いていた。事故にあったのではないか、アパートで首を吊っているのではないかと心配していた。そんなわけない、大丈夫だよと返した。

 

 子どもを車に乗せ、3人で日用品を買い、家に戻った。義母が帰ってきていた。ぞっとする思いを振り払い挨拶した。笑顔を作ることはできなかったが、予定通り声をワントーン上げた挨拶を披露した。誰にとっても気持ちが悪い挨拶を。

 

 義母は困っているように見えた。罪悪感が胸に広がった。

 

 ―ごめんなさい、あなた方は何も悪くないのです。私がおかしいのです。

 

 心の中でそう呟き、再び逃げるように家を後にした。