社会

 最終出社を終え、有給消化に入った。妻と生後1か月の子どもがいるが、逃げるように妻の実家を後にした身としては、彼らに会わせる顔が無い。義務感はあったが、ただただ鬱陶しいばかりで向き合う気力も起きなかった。

 

 社会の義務や常識に従うことが馬鹿らしくなってきた。

 

 当然淘汰されるだろう。一人で狩りをし、寒さをしのぎ、病気を治すことなどできないのだから。

 

 社会の外に出たら、罪を犯すことのできない人間は野垂れ死ぬ。罪を犯す勇気があれば、制約は受けるが、雨風をしのぐ場所を与えられ、決まった時間に食事を与えられ、病気になれば看病してもらえる。罪を犯した人間は罰を受けることで社会に守られる。罪を犯すことは社会に従わないことではない。

 

 罪を犯すこともできず、社会に従うこともできない人間は死ぬ以外にない。